移植
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腎移植患者の移植後CVDインターベンション
後藤 憲彦二村 健太島本 侑樹西沢 慶太郎小玉 寛健姫野 智紀長谷川 雄基岡田 学平光 高久鳴海 俊治渡井 至彦
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s185_1

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抄録

腎移植後冠動脈疾患に重要なことは、移植前に冠動脈の状態をしっかり把握することである。腎冠動脈病変を進行させないために、腎移植による早期腎不全からの脱却が大切であるが、全身麻酔を必要とする腎移植では、LAD(左前下行枝)病変がある時には血行再建を先行すべきである。また腎移植前に心臓バイパス術による完全血行再建ができる冠動脈病変は稀である。腎移植後は、移植腎機能維持、血圧、体重、血糖、脂質の管理とともに、禁煙の継続が重要である。目標血清LDLコレステロール(LDL-C)は、ACS(急性冠動脈症候群)の既往があれば70mg/dl未満、安定狭心症でも糖尿病合併時は70mg/dl未満、糖尿病合併がない時は100mg/dl未満であり、それぞれ目標値は異なる。冠動脈リスク因子をきちんと管理していても、移植前から冠動脈疾患合併レシピエントは、合併していないレシピエントに比べて、移植後冠動脈イベントは起こる可能性は高い。安静時ではなく、負荷心電図や負荷心筋シンチによりスクリーニングする。ACS発症後に治療するのではなく、予定されたelective PCIや心臓バイパス術で治療をすべきである。移植前後に発症した冠動脈疾患により腎移植後収縮性心不全(HFrEF)のリスクがある時には、β遮断薬、ANRI(アンギオテンシン受容体拮抗薬・ネプリライシン阻害薬)、MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)、SGLT2阻害薬のFantastic 4導入も求められる。当院での経験を紹介する。

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