移植
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小児心臓移植の現状と課題
坂口 平馬
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s195_2

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抄録

2010年、臓器移植法案改定後に事実上の国内小児心臓移植の幕開けとなった。しかし当初はなかなか国内心臓移植ドナーが増えてこず、海外渡航移植に頼る時代が続いていました。当院においては2018年を最後に渡航移植希望はなくなり、国内待機が主体となった。2019年には国内小児心臓移植症例が全国で17例と急激な増加を見せ、COVID19感染症の流行とともに再び落ち込みはしたものの、昨年より増加の機運が高まっている。相変わらず、待機期間3年強の状況は変わらずも、国内心臓移植実現への期待は十分に実感できる状況となった。現状問題点としては、第一に長い待機期間を乗り切る補助循環の導入から、管理レベルの底上げが必要と思われる。特に送脱血管周囲の洗浄・消毒方法は、毎日の処置となり、多職種でのカンファレンスや病院間での情報共有が必要と考えられる。また、右心不全の併発時の管理、またそれを未然に防ぐ日々の管理への工夫を施設間でも共有して、国内レベルの向上を図る必要がある。そして次に小児心臓移植医療実現に欠かせない専門スタッフの充足が急務である。症例数が増えていけばいくほどにChild life specialist、レシピエントおよびドナーコーディネーター、そして臓器移植ネットワークといった専門スタッフのsustainableな参画を念頭に置いたシステム構築が必要だと実感している

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