2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s202_2
緒言: 同種膵島移植の確立を目指し、CIT-J003「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植」が多機関共同で実施された。この臨床試験の結果を報告し、発展に向けた課題を展望する。方法:免疫抑制療法は、サイモグロブリン・カルシニューリン阻害剤・MMFを主とし、膵島移植の有効性と安全性を評価した。主要評価項目は、初回移植後1年のHbA1c値<7.4%および重症低血糖発作が消失した患者の割合とした。結果: 心停止ドナー:5例、脳死ドナー:16例から21回の膵島分離が行われ、16回の膵島移植が実施された。ドナー平均年齢は45.0(19-68)歳であった。8名のレシピエントが有効性解析対象となり、移植回数は1回:3名、2回:3名、3回:2名であった。6名(75%)が主要評価項目を達成し、1年後、2年後のHbA1c値中央値は6.2%、6.4%であった。2回および3回の移植を受けた2名(25%)がインスリン離脱を達成した。腹腔内出血や門脈塞栓症など移植手技に関連する合併症は認めず、腎機能は維持され、感染性合併症も認められなかった。結語: 膵島移植は安全に実施され、良好な血糖制御と重症低血糖発作の消失が達成できることが示された。複数回の移植を要する現状の打開と、インスリン離脱率の改善が次の課題である。