移植
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当院における単孔式および細径鉗子を使用した腹腔鏡下ドナー腎採取術の検討
高橋 遼平萩生田 純石川 裕己北岡 壮太郎環 聡森田 伸也香野 日高中川 健
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s246_1

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抄録

我々は腹腔鏡下ドナー腎採取術において安全性や移植腎の機能温存を最優先に考えながらより低侵襲、高整容性を両立させるべく手術術式の工夫を重ねてきた。現在左側の腎採取で腹部手術の既往が無い場合のみ経腹アプローチで行っている。その際、下腹部Pfannenstiel切開+臍を含めた5mmポート2本+2.5mmポート1本の細径鉗子を使用している。細径鉗子を使用した経腹アプローチでは摘出創は下着や陰毛に隠れ、臍や2.5mmポート創はほとんど目立たなくなるため整容性に優れ、疼痛コントロールも良好である。この術式では鉗子とカメラの位置関係が従来の腹腔鏡手術と近く、同じような感覚で操作できることもメリットである。右側の腎採取の場合、経腹アプローチでは肝臓を支える為の追加ポートが必要となるため後腹膜アプローチを選択している。後腹膜アプローチの場合は側腹部に切開創を置いた単孔式(LESS : Laparoendoscopic sigle site surgery)を選択している。左手に屈曲鉗子を用いることで狭いポート間隔でも一定の術野展開が可能となる。現在まで経腹アプローチを50例、後腹膜アプローチを18例施行し輸血例や開腹移行例はない。温阻血時間はそれぞれ268/265秒、1ヶ月後のレシピエントsCrは1.21/1.28mg/dLといずれも従来の腹腔鏡手術とほとんど差が無く移植腎の機能温存の点でも安全に手術が行われている。手術の工夫点また現在までの手術治療成績を報告する。

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