移植
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術前データの機械学習から算出された献腎移植の10年生着率予測式
木島 佑平井 敏仁岩藤 和広海上 耕平三浦 健一郎服部 元史清水 朋一石田 英樹高木 敏男
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s245_3

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抄録

目的:現在、献腎移植のレシピエントは組織適合性と待機期間から選定されるが、期待生着率は加味されていない。今回我々は、術前のドナー、レシピエントの臨床変数から機械学習を用いて長期移植成績を予測できるかを検討した。方法: 1984年から2011年の間に当院で施行した355件の献腎移植をランダムに7:3に分け、解析コホート249例からCox比例ハザード回帰解析で移植腎廃絶に対するハザードモデルを作成した。得られたモデルを検証コホート106例に適応し、予測モデルが実際の10年生着を予測し得るか検証した。結果:解析コホートから得られた移植腎廃絶のRelative riskはe(1.34*心停止ドナー) -(0.003*透析期間) + (0.032*ドナー年齢) + (0.61*HLA-DRミスマッチ数)であった。ここから算出された検証用コホートの予測10年腎生着率は76.9±14.2%、実際の10年腎生着率は76.4%であり、腎生着予測式の精度、再現性、F1-measure、正確性はそれぞれ0.802、0.95、0.87、0.78と良好だった。結論: 術前データを用いた予測式により、的確に長期予後を予測できることが示唆された。機械学習の導入により、より有効な臓器配分につながることが期待される。

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