2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s292_3
目的:実用化が模索される皮下膵島移植では、前処置により拒絶反応が発現しない局所環境を作成する試みが進められている。アガロースにbasic fibroblast growth factor(bFGF)を担持させラット皮下に血管誘導を図る方法では、局所で制御性T細胞(Treg)の割合が増加し免疫寛容空間を形成すると報告されている(Luan et.al. AJT 2014)。我々はhigh-responderのマウスモデルでの本方法の検証を行った。方法: C57 BL/6マウスをレシピエントとし、bFGFを添加したアガロースを移植2週間前に皮下に埋込み血管誘導を行った。BALB/cマウスから分離した膵島500個あるいは1000個を前処置後の皮下に免疫抑制剤非使用下に移植した。また、移植同日にC57 BL/6マウスの脾臓より分離したTregを経静脈的投与(1×106個)し効果を検証した。結果:膵島500個移植群では血糖正常化が得られず、Treg共投与は結果の改善をもたらさなかった。1000個移植群では血糖正常化は得られたが、2週間以内に血糖再上昇が認められた。Treg共投与を加えても血糖再上昇を認め、拒絶反応の回避が困難であった。結語: High-responderマウスモデルでは、本法のみでの免疫制御は困難であり、免疫抑制療法の併用やTreg追加投与数・投与時期等の検討が必要と思われた。