2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s310_1
目的HLA-G1及び-Eの発現によってNK細胞及びマクロファージによる異種移植免疫応答が抑制されるが、好中球については未だ不明である。今回、HLA-EとHLA-G1のヒト好中球に対する拒絶反応をin vitroの実験系にて検討した。方法ヒト好中球を採取し、未刺激時およびPMA刺激後のNKG2A、ILT-2、ILT-4発現をFACSにて検討した。HLA-E及びHLA-G1を発現Vector (pCAGGS) に組み込みSECにtransfectしSEC/HLA-E、SEC/HLA-G1を作出した。次にPMA刺激したヒト好中球とこれらの細胞を共培養し、細胞障害性を算出した。さらに、PMA刺激したヒト好中球とSEC、SEC/HLA-E、SEC/HLA-G1を共培養後、CellROX Green Reagentを加えROS産生率を算出した。結果ヒト好中球でのNKG2A、ILT-4発現はわずかであった。一方、未刺激時ILT-2は20%程度であったが、PMA刺激後は40%に上昇した。これに伴い、細胞障害率はSEC/HLA-Eでは変化を認めなかったが、SEC/HLA-G1においては有意に抑制された。ROS産生試験でもSEC/HLA-G1では抑制される傾向を認めた。結論HLA-G1によって好中球による異種移植免疫反応が抑制される可能性が示唆された。