移植
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当科における生体肝移植後のde novo DSAとグラフト機能との関連
中川 雅千葉 斉一佐野 達郡司 崇裕日高 英二田渕 悟新後閑 正敏菊池 勇次小林 敏倫横塚 慧小金澤 樹河地 茂行
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s325_2

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抄録

[背景] 成人生体肝移植後の長期成績にde novo DSAが及ぼす影響は不明な点が多い。[目的] 当科の成人生体肝移植長期生存例においてde novo DSA検査ができた症例についてグラフト機能との関連を後方視的に検討した。[対象と方法] 当科の63例の生体肝移植のうちDSAの測定が可能であった10例のレシピエントを対象とした。生存期間は移植後42-248 (中央値78.5)月であった。保険適応に準じたHLA抗体スクリーニング検査を行い陽性の場合抗体特異的同定検査を施行した。DSA陽性症例については半年毎に検査を行った。[結果] HLAスクリーニング検査ではClass1は2例、Class2は8例陽性(重複あり)となり抗体特異的同定検査へ進んだ。3例がDSA陽性となった。いずれもClass2であり、MFI値が10000以上の症例を1例認めた。この症例は一貫してMFI値10000以上が継続しているが、肝機能も一貫して正常であった。他のMFI値が1458、2054であった症例は時期によってDSA陰性となったり陽性となったりする症例で、肝機能は軽度異常値を呈していた。1例は肝生検を施行しているが、明らかな抗体関連拒絶(AMR)の所見はなくPSCの再発が疑われている症例であった。[結語] de novo DSAを30%の症例に認めたが一貫した陽性例は1例(10%)のみであった。MFI値10000以上が継続しているが肝機能の異常を認めず組織学的検討が望まれた。陽性・陰性が一貫しない症例のDSAの意義は不明だがAMRの関与は薄い印象だった。

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