移植
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腎移植レシピエントにおけるIgG値の臨床的意義に関する検討
望月 保志倉田 博基原田 淳樹荒木 杏平中村 裕一郎安田 拓司中西 裕美光成 健輔松尾 朋博大庭 康司郎西野 友哉今村 亮一
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s338_3

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抄録

【目的】腎移植後は拒絶反応あるいは感染症の発症を回避するための至適免疫抑制療法の調整が重要である。現状では、指摘免疫抑制療法を決定する簡便で臨床応用可能な指標は皆無である。IgG値は簡便に測定でき、臨床的な免疫抑制状態の指標となりうる。そこで、当院腎移植レシピエントにおけるIgGの臨床的意義について検討を行った。【対象】対象は、当院で腎移植後経過観察中の123例で、患者背景は年齢57.9±13.9歳、男性 81例 / 女性 42例、生体腎 96例 / 献腎 27 例、ABO血液型不適合36例(29 %)、先行的腎移植27例(22 %)、糖尿病7例(6 %)であった。移植後観察期間11.8±9.4年におけるグラフト機能は血清Cr 1.39±0.58mg/dl, eGFR 44.9±17.1 ml/minであった。【結果】対象における総IgG値は960±269 (基準値870-1700 mg/dl)であった。患者背景における検討では、女性は男性より有意に高値であり、CRPは正の相関、好中球リンパ球比(NLR)は負の相関を認めた。免疫抑制剤における検討ではカルシニューリン阻害剤の種類は関連を認めなかったが、MMF投与例ではIgGは有意に低値であった。合併症に関する検討ではIgG値はCMV感染症、悪性腫瘍との関連は認めなかった。【考察】IgG値は性差、MMF投与の有無と関連していたが、移植後合併症との関連は認めなかった。個別免疫抑制療法の調整におけるIgGの有用性については、さらなる検討が必要であると考えられた。

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