2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s340_1
【緒言】腎移植後のPost-transplant lymphoproliferative disorders(PTLD)を6例経験した。【対象】2002年1月以降に実施され、1年以上観察された123例の自験腎移植のうち、PTLDを発症した6例(4.9%)を対象とした。【目的】自験PTLDの特徴につき検討する。【結果】性は4/2(M/F)、移植及び診断時の年齢はそれぞれ40/43(31-53)歳、移植から診断までの期間は36(10-143)ヶ月であった。ドナーは全て生体、血液型不適合が2、HLAミスマッチ数は2(1-3)であった。導入免疫抑制はCNI/MMF/MPが共通し、ALGとBasiliximabがそれぞれ3例、Rituximabが2例に用いられていた。発症までに3例において拒絶反応を認めた。EBVは5例がD(+)/R(+)で1例がD(+)/R(-)であった。局在は脳3、胸膜を含む多発病変1、肺1、肝臓1と多彩であった。治療は全例で免疫抑制を弱め、脳の3例は手術とメソトレキセート、うち2例に放射線照射を加えた。他の症例では2例R-THP-COP、1例Pola-R-THP-CPの化学療法を行った。病理組織所見はいずれもDLBCLで、5例がEBER-ISH陽性であった。転機は原病死2、治療関連死1、寛解後経過観察中3である。【考察】PTLDは移植後早期から遠隔期にまで発症し、致死的な経過をたどることのある合併症である。過免疫抑制が原因とされているが、標準免疫抑制の例でも発症を認めており、移植後全患者へのPTLD発症に留意するべきである。診断・治療の遅滞を避けなければならない。