移植
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10年間の調査結果から示唆される組織摘出における医師の負担とチーム編成の課題
前田 浩志三瓶 祐次小前 兵衛赤松 延久山内 治雄長谷川 潔小野 稔田村 純人
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s341_3

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抄録

【目的】

外科希望者の減少による外科医の不足が懸念され、高度医療現場への影響が懸念されている。過酷な勤務状況にある臓器移植・組織移植を担う人材の安定的確保に憂慮し、診療勤務時間内外における組織ドナー情報発生時の摘出チーム編成の困難さを実態として明らかにするため、組織摘出に関与した医師らの実情を調査した。

【方法】

2013年から2022年の過去10年間の組織摘出出動について遡及的に調査した。

【結果】

該当期間中合計74回の組織摘出出動があった。出動した医師は累計88人で、3回以上の出動経験がある医師は33人(37.5%)、55人(62.5%)の医師は1~2回の出動であった。出動の内、46回(62.2%)は勤務時間外の早朝深夜を含めた時間帯であり、土曜日および日曜日の出動は18回(39.1%)であった。

【考察】

出動は通常の勤務時間外の割合が多く、土曜日、日曜日にも及んでいることから、医師の負担は大きいことが明らかとなった。また、ドナー情報発生後、摘出チーム編成から摘出開始までの移動時間を考慮すると拘束時間はさらに長い。当院では移植件数が増加していることから、この組織摘出は貴重な経験の機会であるが、その一方で医師の負担の課題も浮き彫りとなった。医師の健康と働きやすさを考慮しながら、労働時間の適正化に取り組む必要があり、本調査結果は医師の働き方改革を支援する上で重要な情報となりうると考える。

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