2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s147_2
全国47施設ある移植検査センターは日本臓器移植ネットワーク(JOT)と連携して組織適合性検査を実施している。その中でもJOTに認定された全国で13施設の特定移植検査センターはドナー発生時の臓器提供に必要な検査を24時間365日で対応する必要があり、その業務負担から近年移植検査センターから撤退する施設が増加し,移植検査体制は極めて厳しい状況にある。当院は移植医から院内での組織適合性検査の実施要請があったため,数年の準備期間を経て、2015年に検査技師2名で開始した。院内検査開始時からコストの問題や人材育成など多くの課題を抱えていたが,病院の理解や多くの支援を受けて解決することができた。2022年にJOTから要請を受けて、2023年より特定移植検査センターとしての業務を開始し、これまでに10件以上の症例を経験した。現在、当院の認定HLA検査技術者は5名となり,特定移植検査センターの業務を交替で対応することにより,一人当たりの業務負担軽減が可能となっている。しかしながら、ドナー発生時の全国的な移植検査体制は依然厳しい状況にあり、検査施設数の増加やバーチャルクロスマッチの普及など特定移植検査センターの業務負担軽減が必要である。院内の組織適合性検査を開始してから特定移植検査センターとして活動するまでの経験を共有するとともに、取り組むべき課題について議論したい。