2018 年 26 巻 4 号 p. 382-390
目的:自己管理スキルを活用した高校生の歯肉炎改善のための歯科保健プログラムを開発し,有効性を検討することを目的とした.
方法:高等学校1校に在籍する1年生のうち定期健康診断で歯肉炎と診断された生徒57名を対象に,自己管理スキルを活用した歯科保健プログラムを1年間に4回行った.その成果を歯肉の炎症を示すPMA-index,歯と口の健康に関わる項目,ブラッシング行動スキル,自己管理スキルの変化から評価した.歯と口の健康に関わる項目は,生活習慣,食習慣,歯肉の自己診断,ブラッシング行動,歯科受診行動,歯についての知識とした.
結果:PMA-indexは,事前評価から歯科保健プログラム終了3カ月後の事後評価まで改善されていた.しかし,開始から1年後の事後評価では,生活習慣やブラッシング行動が望ましくない方向に変化し,PMA-indexは改善されていなかった.
結論:歯科保健プログラム終了後に歯肉炎が改善されていたことにより本プログラムの有効性が示された.しかし,実施1年後には,歯肉炎の改善が認められず,プログラムの効果を維持させることへの課題が示された.