移植
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腎移植医として知っておくべき遺伝子検査
神田 祥一郎
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s177_1

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抄録

次世代シークエンサー等を用いた遺伝子解析は、その進歩とともに、研究分野のみならず臨床現場においても急速に広まっている。末期腎不全の原疾患の一部は遺伝子異常によって発症するものであり、腎疾患を有する患者の診療においても遺伝子解析が行われる例が増えている。ただし、疾患の種類や患者ごとに遺伝子異常の種類は様々であり、原因の遺伝子異常を想定したうえで適切な解析方法を選択し、遺伝子診断をつけることは決して容易ではない。一般的に、診療場面における遺伝子解析の目的は確定診断(あるいは鑑別診断、除外診断)である。しかし、その結果が診断のみならず治療に反映される例も存在する。そしてそれは腎移植を行う場合においても同様である。例えば、小児末期腎不全の最も頻度の高い原疾患である先天性腎尿路異常は様々な腎外合併症を伴うことがあり、それは原因遺伝子と関連がある。そのため原因遺伝子が明らかになっていれば、腎移植の周術期管理や長期フォローアップの際に、あらかじめ注意すべき合併症として認識し対応することができる。また、巣状分節性糸球体硬化症も遺伝子診断がつく場合は、その種類によっては周術期の管理・対応が変わりうる。本講演では、基本事項として遺伝子解析の種類と遺伝子異常が明らかになっている腎疾患について述べた後、腎移植を行う際の遺伝子診断の有用性と今後の展望について考えたい。

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