移植
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当院における生体肝移植ドナー低侵襲手術手技
三井 哲史高原 武志西村 彰博福岡 裕貴谷脇 慎一内田 雄一郎岩間 英明小島 正之新田 浩幸須田 康一
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s252_1

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抄録

【はじめに】腹腔鏡下外側区域グラフト採取術は、拡大視効果によるメリットがある一方で、脈管周囲の操作・脈管の切離ラインなどに関して、細心の注意を要する。当院での手術手技をビデオで供覧する。【手術手技】】3例中2例は学会の術者基準を満たすエキスパートを術者として、1例はプロクターとして招請した。1, 右肋弓下、右前腋窩線上に術者ポートを、左上腹部に助手ポートを挿入し手術開始。2, 肝鎌状間膜・冠状間膜を切離、肝円索を切離後、心窩部に助手ポートを追加し、肝円索は患者右側に牽引する。3, Arantius plateを確保・切離し、Arantius plateより腹側で左Gulisson鞘を確保する。4, S4のbridgeを切離し、Pringle下に門脈臍部右側よりペアンクラッシュ法で肝離断を開始する。頭側に肝離断を行い、G4a,G4bをそれぞれ処理し、左肝静脈(LHV)をテーピングする。5, ICGを注入し、胆管の走行・総胆管の走行を確認する。6, 確保した左Glissonから左肝動脈(LHA), 左門脈(LPV)を分離し、それぞれをテーピング、左肝管を含む肝門板の組織を引き算でテーピングし、再度ICGを注入し胆管の切離ラインを決定する。7, 左肝管を離断後、全身ヘパリン化を行なった後、LHA、LPV、LHVをそれぞれ離断しgraftをbagに入れて臍の創部より摘出する。【結語】いずれのドナーも術後経過に問題なく、腹腔鏡下外側区域グラフト採取術は、エキスパートの指導のもと安全に導入できている。

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