移植
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心移植後BK virus腎症による末期腎不全に対する小児生体腎移植症例
姫野 智紀渡井 至彦平光 高久島本 侑樹長谷川 雄基児玉 卓也西川 涼馬青木 太郎二村 健太岡田 学鳴海 俊治服部 俊彦真島 久和後藤 芳充後藤 憲彦
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s262_1

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抄録

慢性腎臓病は心移植後に合併しやすく心移植レシピエントの予後を悪化させる。症例は5歳女児(腎移植時体重11kg, 身長 96cm)。0歳時に心筋症による心不全を発症し2歳時に心移植を受けたが、3歳時にBK virus腎症を発症し末期腎不全に至ったため、父親からの生体腎移植を行う方針となった。全身麻酔のリスクの評価とBK virus腎症の病勢管理を目的に、腎移植まで三期的に手術を行った。まず心移植施設と連携しBK virus腎症に対し免疫抑制薬をTacrolimus(TAC)・MMF・Everolimus(EVR)・PSLからTAC・EVR・PSLへ変更し、麻酔のリスク評価と腎代替療法の準備目的に全身麻酔下で腹膜透析カテーテル留置術を行った。その1か月後に腹膜透析カテーテル出口部作製に併せてBK virus量のコントロール目的に左腎摘術を施行し腹膜透析療法を開始。BK virus量が19000 copy/mLから390copy/mLへ減少したことを確認。左腎摘出2カ月後に後腹膜腔経由で右腎摘出と生体腎移植術を施行した。移植腎動静脈は大動脈と下大静脈へ吻合し、手術時間4時間30分、出血量20mLで総阻血時間66分であった。創傷治癒の観点から腎移植後免疫抑制薬はTAC・MMF・PSLへ変更した。移植後の経過は順調で、今後もBKV量をモニタリングする予定である。

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