2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s261_2
【背景】 肝移植後SSI予防法は施設によって様々であるが特に予防抗菌薬の種類や期間、ドレーン管理方法は検討の余地がある。今回、腹水検査を用いた当院のSSI予防法を示す。【方法】 肝移植後SSI予防抗菌薬はCTXやSBT/ABPCを選択し、術後第3病日(POD3)まで投与することを基本。術中所見により術中にGMを追加。POD1とPOD5に移植時の腹腔ドレーンから腹水を採取し、腹水細胞数・生化学・培養検査を実施。腹水好中球数1000/mm3以上を腹水検査陽性と定義。POD1陽性例はPOD4以降も抗菌薬を継続し、POD5陽性例は基本的に陰性化するまで抗菌薬と腹腔ドレーン管理を継続。【結果】 30代女性、胆道閉鎖症、Child-Pugh分類A、難治性胆管炎(術前血液/胆汁培養:K. pneumoniae)で肝移植適応。兄の後区域グラフトを用いた生体肝移植施行。予防抗菌薬はCTXを選択し、挙上空腸より胆汁漏出したため術中GMを追加。POD1腹水好中球数5174/mm3、培養陰性でありCTXを継続し、ドレーン排液はPOD9より100ml/日以下となったがその後もドレナージを継続。POD12腹水好中球数1214/mm3、培養C. jeikeium、無症候性であり、ドレーン感染とし、CTXはPOD13までとし、ドレーンはPOD20に抜去。抜去時腹水好中球数56/mm3、培養C. jeikeium。経過良好でPOD29に退院。【結語】 肝移植後腹水検査を用いた個別化SSI予防法は有効であるが、症例の蓄積が必要。