移植
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エベロリムスの薬物血中濃度の検討―腎移植―
深江 彰太比嘉 洋子松村 聡一田中 亮余西 洋明中澤 成晃角田 洋一猪阪 善隆野々村 祝夫
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s293_1

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抄録

【緒言】腎移植後におけるカルシニューリン阻害薬における腎毒性を軽減するためにエベロリムス(EVR)に対する必要性は高まっている。EVRはトラフ値(C0)の測定による治療モニタリングが推奨されている。今回、われわれは腎移植患者のEVRにおける血中薬物動態について検討した。【方法】当院で2000年6月から2023年5月に腎移植を施行し、当院でフォローアップ中の患者のなかでエベロリムスの血中薬物濃度モニタリング(TDM)(C0から内服後4時間値(C4)までの1時間毎)の測定結果がある171名(782検体)を解析の対象とした。【結果】対象となった全検体においてC0の中央値は3.5ng/mlで、最高血中濃度は内服後1時間値(C1)で中央値が7.1ng/mlであった。C0からC4の血中濃度時間下面積(AUC)であるAUC0-4の中央値は25.68ng.hr/mlであった。また、C0よりもC1のほうがAUC0-4とは強い相関を認めた(C0: R=0.494, p<0.001、C1: R=0.896, p<0.001)。EVRの内服期間別では、3か月以上ではC1で最高血中濃度(11.2ng/ml)に到達していたが、3か月未満ではC4まで緩徐に濃度上昇を認めていた。【考察】TDMによるエベロリムスの個別化投与としてトラフ値だけでなく、内服後の血中薬物動態による定期的な観察も考慮する必要がある。

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