移植
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当院での成人生体肝移植施行例におけるSFSS(small-for-size-syndrome)の検討
加藤 孝章小寺 由人平田 義弘市田 洋文入江 彰一武田 良祝吉岡 龍二三瀬 祥弘今村 宏齋浦 明夫川崎 誠治
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s319_1

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抄録

(はじめに)国際肝移植学会でSFSS(small-for-size-syndrome)のGrade分類が提唱された。GradeAは術後7日目T-bil>5mg/dl、14日目T-bil>5mg/dlまたは腹水1L/日以上、Bは術後7日目T-bil>10mg/dlまたはINR>1.6、14日目T-bil>10mg/dlかつ腹水1L/日以上、Cは術後7日目T-bil>10mg/dlかつINR>1.6、14日目T-bil>20mg/dlと定義された。(方法)2004年1月から2018年12月までに成人生体肝移植施行65例中、GradeA以上を呈した14例(SFSS群)の臨床的背景、Gradeの経過、手術成績。SFSSを呈していない51例(非SFSS群)と比較検討。(結果)SFSS群レシピエント:55歳、背景疾患はC型LC6(HCC2)、PBC3、アルコール性LC1(HCCあり)、cryptogenicLC1(HCCあり)、BA1、PSC1、BCS1、Child-Pugh B1例、C13例、10点、MELD23点。ドナー:31歳、グラフト全例左葉、GRWR0.80。CDIIIb以上6例(ARFでCHDF3、胆汁性腹膜炎、腹腔内膿瘍、肝動脈血栓で手術が1例ずつ)。GradeA以上はA13例、B1例、Cなし。Aは14日目に4例改善、A維持7例、Bに悪化2例、B1例はB維持。A維持であった1例で肝動脈血栓で死亡。また、SFSS群は非SFSS群と比べMELDが高く、ドナー年齢、グラフトの大きさに差は認めなかったが合併症率が高く、生存率(SFSS群:1年92.7% ,3年92.7% ,5年85.7%、非SFSS群:1年98.0% ,3年96.1% ,5年96.1%、P=0.0182)に差を認めた。(結語)SFSS群は非SFSS群と比べて予後は悪いがGradeBまでであれば良好である。

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