移植
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従来に比して高感度に腎移植ドナーの適応を判断しうるシスタチンCを用いた新規推算糸球体濾過量計算式の開発
余西 洋明角田 洋一比嘉 洋子徳地 真帆中澤 成晃難波 倫子高橋 篤史堀尾 勝野々村 祝夫猪阪 善隆
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s328_3

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抄録

【背景】生体腎移植において、ドナー腎機能評価は重要である。イヌリンクリアランス(Cin)は最も正確な糸球体濾過量(GFR)の評価方法であるが、負担が大きい。クレアチニンに比べシスタチンC(Cys-C)から推算された糸球体濾過量(CysC-eGFR)は正確とされているものの、CysC-eGFRで腎機能低下していると思われてもCin検査を行うとドナー適応が有ることにしばしば遭遇する。そのためより高感度な検査方法が求められている。【方法】移植前検査でCys-CとCinを測定したドナー候補者500名を用いて、Cys-Cを用いた新たな推算糸球体濾過量(New-CysC-eGFR)計算式を作成した。その後、別のドナー候補者300名を用いて、従来のCysC-eGFRとNew-CysC-eGFRにより判断されるドナー適応がCin検査による適応と一致するかGFRのカットオフ値を70, 75, 80ml/minで検討した。【結果】GFRのカットオフ値を70, 75, 80ml/minとしたドナー適応は、従来のCysC-eGFRでは感度が81.9, 83.8, 87.5%である一方で New-CysC-eGFRを用いると95.2, 98.7, 99.6%と良好であった。【結語】New-CysC-eGFRはドナー適応を検討する際にきわめて高感度であり、余分なCin検査を減らせる可能性がある。

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