2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s344_3
【目的】術中移植腎冷却維持のためのゲル状冷却剤の早期移植腎機能への影響を検討した。【方法】2021年1月から2024年2月までの生体腎移植例50例中、早期移植腎機能障害を来すイベントがあった6例を除外した44例を対象とした。血管吻合中のゲル状冷却剤(OrganPocket, OP)使用14例と不使用30例につき以下の項目を比較した。背景因子として、温阻血時間(WIT, 秒)、総阻血時間(TIT, 分)、血管吻合時間(2ndWIT, 分)、移植翌日MAG3腎レノグラムにおける有効腎血漿流量(ERPF, mL/分/1.73m 2)、移植腎固有ERPF(mL/分/m 2体表面積)、20分/最大カウント比(C20/Cp)、最大カウント時間(分)、固有ERPF/ドナー摘出側糸球体濾過率(GFR)比、術後6日目血清クレアチニン(D6Cr, mg/dL)、同推算GFR(D6eGFR)、体格比から算出した予測Cr値(pCr)、D6Cr/pCr比。【結果】2群間の間でWIT、 TIT、 2ndWITともに差が無かった。ERPF、固有ERPF、 C20/CpはいずれもOP使用群で有意に良好だった。固有ERPFはドナー摘出側GFR補正してもOP使用群が有意に良好だった。D6Cr、 D6eGFRはOP使用群で有意に良好、またpCrに対する比も良い傾向だった。【結語】ゲル状冷却剤を用いた移植腎冷却により早期移植腎機能改善の可能性が示された。