移植
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生体腎移植における断熱ゲルバッグ使用によるグラフトへの影響について -従来法と比較して-
浦橋 泰然駒込 昌彦牧 章長田 梨比人岡田 憲樹櫻井 悦夫新村 晶子山田 永徳木村 暁史松平 慎一山本 雅樹二宮 理貴竹村 信行別宮 好文
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s345_1

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抄録

【緒言】腎移植における温阻血障害は、拒絶反応や腎機能廃絶の危険因子の一つと報告されている。これまで血管吻合時に、レシピエントの体温・室温・手による臓器保持・照明など、温度上昇に伴う腎グラフトへの温阻血障害を避ける目的で、グラフト外縁を冷却する表面冷却法(以下、従来法)がなされてきたが、適切な術野の確保や冷却維持に懸念があった。今回当院にて施行された生体腎移植20症例において、従来法と腎移植用断熱ゲルバッグ(オーガンポケット:SCREENホールディングス)を用いた方法(以下OP法)とを比較した。【方法】レシピエント:年齢49.8歳(男性11例、女性9例)、ドナー:52.5歳(男性12例、女性8例)、レシピエント/ドナーの関係性は親子12組、夫婦6組、姉妹2組で、血液型不適合移植は1例であった。【結果】平均阻血時間はWIT(warm ischemic time)6.5分、WIT2(血管吻合開始から血流再開まで)53.4分、総虚血時間 103分であった。従来法(10例)、OP法(10例)ともに、血管吻合中の腎グラフトを低温に維持することが可能であった。しかしながら従来法と比較して、温阻血障害によるグラフトへの影響差は認められなかった。【結語】生体腎移植におけるOP法は、従来法と比較して温阻血障害によるグラフトへの影響差は少なく、いずれの方法でも大きな問題はないことが推察された。

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