移植
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マージナルドナーにおける腎体積および腎病理組織と残腎機能の関連
堀 俊太富澤 満井上 國彰米田 龍生大西 健太森澤 洋介後藤 大輔中井 靖三宅 牧人田中 宣道藤本 清秀
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s353_1

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抄録

【目的】今回我々は生体ドナー、特にマージナルドナーにおける分腎評価と腎病理組織の特徴について調査した。【方法】2006年~2022年の期間に当科でドナー腎採取術を実施した生体ドナーで術前腎体積と1時間生検病理標本が解析可能であった128例を対象とした。患者背景情報や検査データを電子カルテより収集した。腎体積は術前CTを用いてSYNAPSE VINCENTで算出し、組織学的評価は単一病理医により評価した。マージナルドナー基準は生体腎移植のドナーガイドラインに準じた。【結果】128例中標準ドナーが89例でマージナルドナーが39例であった。腎体積パラメータは2群間で有意な差はなく、腎病理では間質炎症と間質線維化/尿細管委縮がマージナルドナーで多く観察された(P=0.031、P=0.041)。生体ドナー全体では残腎体積/体表面積が術後1年の腎機能温存を予測する独立予測因子(P=0.002)で、マージナルドナーでは残腎体積/体表面積および腎病理の動脈硬化が残腎機能の予測因子であった(P=0.010、P=0.025)。また移植腎予後については、マージナルドナーからの腎提供が有意に予後不良であった(P=0.0019)。【考察】残腎体積/体表面積および腎動脈硬化病変は生体ドナーの腎予後を推測する上で重要であることが示唆された。生体ドナーの選択やフォローアップにおいて、これらを考慮して治療を計画することが、生体ドナーおよびレシピエントの予後改善につながる可能性がある。

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