2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s358_2
【緒言】移植腎のプロトコール生検では臨床的に有用な情報を得られる可能性がある一方で、病理結果によっては介入を要さない症例も多く存在し、出血などの有害事象を生じるリスクもある。今回、我々の腎生検プロトコールの妥当性を検証するため、プロトコール生検によって得られた所見とその後の治療介入の有無について検討した。【対象と方法】 2019年1月から2024年2月の間に当院で移植腎生検を行った118例のうち、その間にプロトコール生検として半年、1年、2年での生検を受け、かつその所見が確認できた32例につき調査した。【結果】全96回の生検のうち病理結果をもとに臨床的な介入を行ったのは17生検(17.7%)であった。介入のタイミングとしては半年が10例(31.3%:拒絶反応1例、CNI毒性6例、VUR疑い3例)、1年が6例(18.8%:拒絶反応1例、CNI毒性4例、ウイルス感染1例)、2年が1例(3.1%: CNI毒性1例)であった。ドナー特異的抗体(DSA)陽性症例に対する15生検のうち3件(20%:拒絶反応2例、CNI毒性1例)で介入を行い、うち2例ではTリンパ球関連型拒絶反応を認めたためステロイドパルス療法を行った。今回の調査では移植後半年の病理結果からその後の病理結果を予測することは困難であった。【考察】移植後2年のプロトコール生検では介入を要する結果が得られる割合が低いことが示唆された。引き続きプロトコール生検の至適施行タイミングについての検討を行っていく予定である。