2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s358_3
【諸言】慢性活動性抗体関連型拒絶反応(caAMR)は抗ドナー抗体に長期間さらされることにより発症する。抗血液型抗体は急性期に拒絶反応を惹起するが、その後の長期的な病理学的検討は不足している。【対象と方法】当院で腎移植後に少なくとも1回以上のプロトコル生検を行った血液型不適合腎移植(ABOi)78例と、抗ドナー抗体陽性腎移植(HLAi)21例を対象とした。プロトコル生検は術後3、12、36、60、84ヶ月に施行した。両群間での急性抗体関連型拒絶反応(aAMR)、およびプロトコル生検でのcaAMR発症率について比較検討を行った。【結果】ABOiに比し、HLAiで女性の割合が有意に高率であったが、その他の患者背景に差は認められなかった。aAMR発症率はABOiで9例(11.5%)、HLAiで8例(38.1%)であり、HLAiで有意に高率であった(p<0.01)。3、12、36、60、84ヶ月生検におけるcaAMR発症率はABOiでそれぞれ0、2.7、4.2、6.8、6.8%、HLAiでそれぞれ4.8、24.8、31.1、31.1、42.6%であり、HLAiにて有意に高率であった(p<0.01)。【結語】ABOiはaAMR発症し、さらに抗体が長期間存在するにも関わらず、HLAiに比してcaAMRの発症は低率であった。