移植
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腎移植患者でのリツキシマブによる脱感作がT細胞に与える影響の解析
古屋 欽司高橋 一広中橋 宏充橋本 真治臼井 丈一星 昭夫西山 博之山縣 邦弘小田 竜也
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s359_1

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抄録

リツキシマブは血液型不適合腎移植で用いられ、accommodationを安全に誘導するkey drugである。免疫応答には様々なリンパ球同士の相互作用が関与するため、リツキシマブの影響はB細胞だけではなくT細胞にも直接的もしくは間接的に影響を与える可能性があるのではないかと仮説を立て、探索的に検証した。

当院で2023年に手術を行った血液型適合生体腎移植4例と不適合生体腎移植4例の、手術前および術後6か月で血液検体からCD4、CD8陽性細胞を抽出して、RNA-seqで解析を行った。

最初に血液型不適合腎移植の前後にCD4、CD8陽性細胞の遺伝子発現プロファイルがどの様に変化するかを検証した。遺伝子発現変化率4倍以上、p<0.01をカットオフとして、CD4、CD8陽性細胞について、それぞれ925、2020個の遺伝子が抽出された。続いて、血液型適合症例と不適合症例の腎移植後後の遺伝子発現のプロファイルの変化をCD4、CD8陽性細胞それぞれにおいて比較すると、同様のカットオフで、163、230の遺伝子が抽出された。

これらの解析で抽出された遺伝子の中には、細胞傷害に関わるGZMBPRF1や抗原認識に関わるTRAV12-2など、複数の免疫関連遺伝子が含まれていた。腎移植症例のリツキシマブ投与によるT細胞への影響が、臨床経過に影響している可能性なども今後検討していきたい。

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