移植
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腎移植後慢性活動性T細胞性拒絶反応に対してステロイドパルスを行った2例
西岡 遵北村 聡志田代 裕己遠藤 貴人横山 直己兵頭 洋二石村 武志中野 雄造三宅 秀明
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s359_2

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抄録

2017年のBanff分類では、尿細管間質炎(i-IFTA)や尿細管炎の程度に応じて、慢性活動性T細胞性拒絶反応(CA-TCMR)の診断基準が改訂された。CA-TCMRは予後不良とされているが、その治療意義については明らかではない。今回、プロトコール生検にてCA-TCMRと診断されステロイドパルス療法によって軽快した2例を報告する。【症例1】32歳、女性。原疾患はANCA関連血管炎で、末期腎不全に対し55歳父をドナーとする生体腎移植術を施行。腎機能は良好に推移も、移植後1年4ヶ月の定期生検でCA-TCMR grade1A(t1, i1, ti2, i-IFTA3, t-IFTA2, v0)と診断され、ステロイドパルス療法を施行した。フォローの生検結果はIFTA with inflammation(t0, i0, ti1, i-IFTA2, t-IFTA1, v0)であった。【症例2】33歳、男性。原疾患は糖尿病性腎症で、末期腎不全に対し59歳叔母をドナーとする先行的腎移植術を施行。移植後5日目にクレアチニン(Cr)上昇を認め、エピソード生検の結果、active ABMR(t1, i2, ti2, i-IFTA0, t-IFTA0, g0, v1, ptc1/2, C4d0)と診断され、血漿交換およびステロイドパルス療法を施行し軽快。その後腎機能は良好に推移していたが、移植後3ヶ月の定期生検でCA-TCMR grade1A(t1, i2, ti3, i-IFTA3, t-IFTA2, g0/1, v0, ptc1, C4d0)と診断され、再度ステロイドパルス療法を行ったところ、フォローの生検ではIFTA with inflammation(t0, i0, ti0, i-IFTA3, t-IFTA1, v0)であった。

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