移植
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慢性抗体関連型拒絶反応の経過中に下肢閉塞性動脈硬化症を発症した1例
白川 浩希石渡 亜由美別府 寛子島田 吉基小原 優希中村 優香亀井 唯子小川 俊江川西 智子阿部 恭知遠藤 真理子
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s359_3

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抄録

症例:58歳、女性。46歳時に夫をドナーとする血液型不一致生体腎移植を施行。妊娠出産歴があり、移植前の免疫学的評価ではCDCおよびFCXMは陰性であったが、ドナー特異的抗体を有した高感作症例であった。そのため、免疫抑制はTAC + MMF + MP + basiliximabに加え、術前脱感作としてDFPP2回、rituximab(200mg/body)投与を行い、夫婦間生体腎移植を施行した。移植後の経過は順調であったが、移植後9ヶ月の時点で移植腎生検にて慢性抗体関連型拒絶反応を指摘された。その後、血清Cr値は1.5mg/dl前後、尿中蛋白は0.5g/日程度で推移しながら移植後10年が経過した。移植後11年目の2023年4月、降圧薬の内服により安定していた血圧の上昇、Cr値の上昇を認めた。当初は慢性抗体関連型拒絶反応の増悪を疑ったが、7月にはCr値は2.5mg/dlまで上昇し、9月には歩行困難が出現した。この時点で下肢の血行障害を疑い、精査したところ右総腸骨動脈の狭窄による下肢閉塞性動脈硬化症と診断された。その後、血管外科にて血管内治療を施行され、症状および、移植腎機能、血圧は劇的に改善した。今回、腎移植後11年目に下肢閉塞性動脈硬化症により移植腎機能の悪化した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

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