移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
限局性強皮症患者をドナーとした生体腎移植の一例«長期報告»
有馬 純矢山田 保俊見附 明彦坂口 大鑪野 秀一榎田 英樹
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s398_1

詳細
抄録

今回我々は、限局性強皮症と診断され、無治療経過観察中で症状増悪のない患者をドナーとした生体腎移植を経験し長期にフォローアップを行った。腎ドナーは73歳女性で血液型はO型。レシピエントは43歳男性で血液型はB型であり血液型不一致生体腎移植術を行った。術後10年が経過し、これまでに1回のエピソード生検と3回のプロトコール生検を行ったが、MPO-ANCA関連腎炎などの強皮症に関連する病理所見は認めていない。ドナーについても加齢に伴う腎機能低下がみられるものの、限局性強皮症再燃や全身性強皮症の発症は認めていない。全身性強皮症は経過中に重度の高血圧症を伴う腎障害を来す可能性があることが知られているが、一方で限局性強皮症患者は同様の腎障害を来すことは極めて少ないとされている。我々は症状の安定した限局性強皮症の患者が生体腎移植ドナーとして許容されうる一例を経験したため若干の考察を加えて報告する。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top