2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s397_3
【背景】移植腎生着延長に伴い長期生着症例は増加しているが、長期移植腎レシピエントの診療に関する指針は確立されていない。【対象・方法】1988年11月より2002年12月までに当院で腎移植を施行、6ヶ月以上経過観察した15歳以上のレシピエントで転院例を除外した、117症例(生体74、献腎43例)を対象とし、2023年12月31日時点で当院診療録より評価した。【結果】117例中36例、30.8%で20年以上の移植腎生着を認めた(生体27・献腎9例、男性16・女性20例)。移植20年後で半数はステロイドを離脱し、63.8%の症例は免疫抑制剤2剤で維持されていた。抗HLA抗体は10例、27.8%に認められ3例でドナー特異性が確認された。20年目の移植腎機能は移植後初回退院時より有意に低下していた(平均eGFR;48.1 ± 18.7 versus 62.8 ±18.5 ml/min/1.73 m2, p < 0.001)。観察期間内(中央値;26.7年)で 生着死亡1例を含み8例で移植腎機能は廃絶した(死亡非打ち切り生着率;77.8%)。生着死亡例を除く7症例の機能廃絶前の移植腎生検の主所見はgrade 2以上のIF/TA 4、IgA腎症2、慢性活動性抗体関連型拒絶1例であった。【結語】移植後20以降も移植腎機能廃絶は認められ、多くは非免疫学的機序によるものと推測された。