2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s398_3
【背景】2014年の生体腎ドナーガイドラインで、内服でコントロールされている糖尿病(DM)ドナーからの腎提供が許容された。世界的に生体DMドナーの報告は少ないため、当院の移植成績を報告する。【方法】対象は2014年以降、当院でDMドナーからの生体腎移植を受けた22例。レシピエント平均年齢52歳(23-73歳)、男性10例、原疾患はIgA腎症5例、DM4例、腎硬化症2例、その他11例。ドナーは平均63歳(45-79歳)、男性10例、もともとDM治療中が10例、ドナー精査で初めて診断され治療介入の後に腎提供となったのが12例。これらのドナー経過および移植成績を後方視的に検討した。【結果】平均観察期間は3年9カ月(3ヵ月-8年5カ月)、ドナーの術前の治療内容は食事運動療法のみが10例、内服治療が12例、全例コントロール良好で腎提供時のHbA1cは平均6.0%(5.3-6.5%)であった。ドナー周術期や術後にDMに関連した合併症はなく、全例腎機能は保たれており、直近のHbA1cも平均6.2%(5.4%-7.1%)であった。レシピエントの5年生存率、腎生着率はともに95.2%で、腎廃絶は移植後7カ月に腎生着中のまま突然死した1例のみであった。その他21例は生存生着中で、経過中に拒絶反応を4例、入院要する感染症を5例に認めたが、治療に反応しており直近のeGFRは平均47.4ml/min(35.1-63.1)と比較的良好に保たれている。【結語】DMドナーからの生体腎移植の中期成績は良好であり許容される。