2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s399_1
背景:生体腎移植ドナー(以下ドナー)は腎提供後の心血管病(CVD)発症リスク上昇は明らかではないが、長期にわたるフォローが必要であり、CVD発症と関連しうる高血圧や生活習慣病管理における内科医の果たす役割は大きい。目的:ドナー72名の術前,術後5年までの実態を評価した。方法:術前、1~5年後の腎機能(eGFR),体重、BMI、血圧、血糖,脂質、尿酸、服薬内容について評価した。動脈硬化はレシピエント1時間生検を用いて評価した。結果:腎提供時のドナー年齢(中央値)は55歳(70~80歳は14名)、BMIは23.7kg/m2(25~30kg/m2は19名)、24時間CCrは107.9mL/min(全例80mL/min以上)、血圧値は121/71mmHgであった。血糖降下薬使用ドナーは認めず、HbA1cは5.6%(全例6.1%以下)と良好であった。術後1年目の評価対象となったドナーは60名、3年目は46名、5年目は26名であった.腎機能の悪化は認めなかったが、降圧薬使用は17名(術前11名),血糖降下薬使用は1名,尿酸低下薬使用は7名(術前3名)と増加し、体重増加傾向を示したドナーも少なからず存在した。1時間生検におけるcvスコア1は25名(35.7%)、cvスコア2は36名(51.4%),aahスコア1は12名(17.1%)、aahスコア2は9名(12.9%)と既存の動脈硬化が確認された。考察:術後5年以内に腎機能悪化やCVD発症は認めなかったが,動脈硬化を背景に血圧上昇や体重変化など生活習慣病の悪化を認め、内科的管理を継続している。