熱帯農業
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メコンデルタにおける黒色ビニールマルチと稲わらマルチの土壌の水分及び温度に対する影響
池田 三雄Le Quang BAO
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1978 年 21 巻 2 号 p. 77-81

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抄録
メコンデルタの乾期は, 11月中旬から4月初旬迄で, 特に1・2月は寡雨である.この期間広大な面積が稲作から開放されて畑作物の栽培に供されるが, 灌漑なしには栽培は不可能である.また乾燥防止の為に, 稲藁マルチが行なはれているが, 多量の資材と労力を要するが, 除草労力も必要であるから黒色ビニールマルチの利用が考えられるので, その効果を調べてみた.試験地はメコンデルタの中心地に近いカントウ市の農学部の圃場で, 土質は細砂66%, 微砂25%, 粘土90%でpHは6.5~7.6であった.黒色ビニールマルチ, 稲藁マルチ及び無マルチの3処理とし, 1区の面積1×2.5mで4区制の乱塊法を用いた. 1973年3月23日に全面灌漑, 翌日さつまいもを植えつけ, 毎日2月25日-4, 月3日迄時間灌漑を行った.その3, 15, 28及び32日後に土壤の水分及び温度並びに地上10cmの気温及び相対温度を測定した.地下5cmの土壤水分は無マルチでは特に初期の減少が著しく, 稲藁区は, 黒ビニール区に少しく劣り, その差は後期程大きかった. 15cm下では両マルチ区の差はみられなかったが, 無マルチの水分は少なかった.土壤水分が最終灌漑後委稠係数迄下った日数は, 地下5cm及び15cmでそれぞれ無マルチ3, 22日, 稲藁16, 28日, ビニール区18, 29日であった.雑草はビニール区では階無であったが稲藁区では, ブロック間差が大きかったが平均して無マルチ区とかわらなかった.稲藁マルチでは均一に敷くことと, 雑草を抜き取ることが必要なことを示している.稲藁区は地温も1.5~2.5下げる効果があった.地表面の温度は日中には気温よりも高くなった.さつまいもの蔓の収量はビニール区, 稲藁区の順に, 無マルチ区に有意にまさった.稲藁区と無マルチ間の差は雑草量は同じであったから, 土壌水分の差に基因し, 稲藁区とビニール間では, 後者に雑草がなかったので, 土壤水分の差の他に, 後者での雑草の競合が大きく影響したと考えられる.ビニールは上からの灌漑が不可能であるから, 畦だけにビニールを敷き畦間は稲藁を敷いて, 灌漑を行なう方法が除草労力の軽減, 土壤水分保持上効果的で, また, ビニールの上にも稲藁を敷くと, 地温の上昇を防いで更に有効であろう.
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© 日本熱帯農業学会
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