熱帯農業
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セラードにおけるコムギ品種の作期に関する研究
第2報 乾期作について
牧田 道夫Edson J. IORCZESKI
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1986 年 30 巻 2 号 p. 88-93

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抄録

コムギの乾期作は4月から9月の乾期中に100日~110日の生育日数で灌水栽培されるが, 乾期作期間は年間を通じて最低温, 最短日 (20℃, 11.2時間) の期間を含むために灌水を行えば雨期作に比べて高収が得られた.播種日を3月20日から6月4日まで移動させることにより, 主として発芽より出穂日迄の期間の低温化, 短日化による生育日数の増加により子実収量は増加した.しかし5月3日以後の播種は出穂期以降の期間が高温に転ずることにより粒形質の充実が抑制されて子実収量の増加を頭打ちとした.最高収量は品種こみで5月24日播種の4.8t/haであり, 主として栄養生長期間の増加による植物体の大型化, 穂数の増加が収量向上に寄与した.乾期の灌水栽培の適期は4月下旬から5月下旬と考えられ, これは従来の奨励播種期間より早限が10日遅いがほぼ一致した.乾期の灌水栽培に適応するメキシココムギ系品種は短強稈, 大穂で草型が改良された多収タイプで子実収量の向上に寄与していた.

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