ブラジル・セラード地域における雨期作コムギは, 一般に雨期後期の2月から3月にかけて播種され, 90日から100日の生育期間を経て乾期の始めに収穫されているが, 播種日を1月4日から3月26日まで移動させると子実収量は1.5t/haから2.0t/haに向上した.これは播種期を遅くすることによって生育期間が高温, 長日条件より低温, 短日条件へ向い, 生育日数が増加することが一因であった。殊に出穂期以降の成熟期間日数の増加の影響が大きく, 千粒重など粒形質の充実化が子実収量の向上に寄与した.しかし収量水準は低く, 試験期間中の最低生育期間平均気温20℃は子実収量の向上にはなお高温過ぎた.雨期作の収量水準が低い他の要因の一つは雨期作栽培用品種が低収性タイプであることによった.