熱帯農業
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高温条件下における日本ナシの花芽着生および植物生長調節物質の影響について
ラックガーン チャトウラポーン弦間 洋岩堀 修一
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1995 年 39 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
タイの北部高原における日本ナシ栽培について調査した.主要な問題の一つは不十分な低温や高い栽培気温によって休眠が打破されず, 発芽や開花が不規則で少ないことである.花芽着生の問題の解決のいとぐちを得るため, ビニールハウスの高温条件下で栽培された日本ナシ‘幸水’の開花習性を調べ, 着花増加の方策を見いだすため実験を行った.花芽分化は発育枝のえき芽で早くも5月に認められ, これは露地の樹より一か月以上早かった.この場合, 長い発育枝において短い枝より多くの花芽が観察された.アブシジン酸とパクロブトラゾール処理はハウス下と露地栽培の樹の枝の栄養生長を抑制し, 着花を増加した.パクロブトラゾールは露地よりもハウス下の樹で着花増加の効果が高く, これに対してアブシジン酸は露地の樹のおいて着花効果が高かった.タイにおいて, 日本ナシの着花を増加させるために, 生長調節物質を処理する可能性について考察した.
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© 日本熱帯農業学会
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