抄録
茶樹の樹勢更新技術には, 浅刈り, 深刈り, 中切りなどの剪定方法がある.また, 深耕による土壌改良も樹勢更新に有効とされるが, 一般に断根を伴うため著しい樹勢劣化を招く場合が多い.そこで, より効果的な樹勢更新技術を確立することを目的として, 20年を経過し樹勢の低下した茶樹を供試し, 剪定と断根処理が樹勢回復に及ぼす影響を検討した.
1.地上部の生育および収量に及ぼす剪定の効果は良好であった.断根処理は初年度の樹勢を抑制したが, 3年目以降は回復した.
2.剪定と断根を併用することにより, とくに葉層が厚くなり, 葉の大きさが増大した.
3.このような剪定単用処理では枯枝が多く発生し, 徒長枝が多発するため摘採面が不揃いとなったが, 断根処理を組み合わせた区では軽減された.
4.剪定と断根処理の併用によって, 剪定単用処理に比べ収量の回復が早く, 新芽の品質が向上した.