熱帯農業
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熱ショックによるキュウリ (Cucumis sativus L.) のサリチル酸応答系全身獲得抵抗性 (SAR) 関連遺伝子の誘導
佐藤 達雄久保 深雪渡邊 清二
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2003 年 47 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

キュウリにおいて, サリチル酸含量の分析ならびに全身獲得抵抗性 (SAR) 関連遺伝子CuPilの発現解析により, 熱ショックがSARを誘導することが示唆された.キュウリ22品種を2001年7月23日から9月14日まで, ガラス室において換気窓を密閉することにより最高45℃, 1時間の熱ショックを与えながら栽培し, 葉中サリチル酸 (SA) 濃度をキャピラリー電気泳動装置で測定した.熱ショックによるサリチル酸含量の増加が18品種で認められた.しかし, SA含量と, クロロフィル蛍光測定法による高温感受性の間には相関が認められなかった.熱ショックで誘導されたSAがSARのシグナル伝達物質として作用することを証明するため, RT-PCR法により遺伝子CuPilの発現を解析したところ, CuPilのmRNAは熱ショック処理の後, 発現した.CuPilはサリチル酸や病害感染によって誘導されるSAR関連遺伝子である.以上のことから, SARは化学的誘導因子や病害感染だけでなく, 熱ショックによっても誘導されることが明らかになった.

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