熱帯農業
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インドネシア西ジャワ州クニンガン県でゾウコンニャクが栽培される理由
Edi SANTOSA杉山 信男河鰭 実之
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2003 年 47 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

ゾウコンニャクはインドネシアにおいて重要な代替食糧の一つであったが, 現在ではクニンガン県を除き, 西ジャワ州ではほとんど栽培されていない.クニンガン県でゾウコンニャク栽培が続けられている理由を明らかにするため, 2001年11月と2002年7月に農家30戸, 仲買人2人, 小売商12人にインタビューを行った.70%以上の農家がホームガーデン, 畑, 水田の畦畔でゾウコンニャクを栽培していた.大きなホームガーデンを持つ農家では特に意識することなく昔からゾウコンニャクの栽培を続けているのに対し, 小さなホームガーデンを持つ農家では畑や水田の畦畔でゾウコンニャク栽培を行っていた.70%以上の農家がゾウコンニャクは家計にほとんど寄与していないと回答した.ゾウコンニャクの80%以上は自家消費され, 残りは近隣または親戚への贈り物であった.ゾウコンニャクを好んで食べると回答した農家は80%以上であった.年1人あたりの球茎の消費量に関しては, 1ないし2個と回答した者が半数を占めた.球茎消費量と所得レベルとの間には関連は認められなかった.以上の結果から, クニンガン県でゾウコンニャク栽培が続けられている理由として, (1) ゾウコンニャクに対する嗜好性が高いこと, (2) 人きなホームガーデンが多いこと, (3) 都市化があまり進んでいないことの3つが考えられた.

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