抄録
蒸散を適当に制御することは, 乾燥地に植えられるカシューナッツの苗の生存と成長に重要である.インドネシアのカシューナッツ10系統の苗を容量4.3リットルのポットに栽培し, 土壌水分の低下にともなう葉温の変化を携帯型赤外線温度計で測定した.同時に, 十分に水を与えた植物の葉温, 乾燥した葉の温度, および湿ったろ紙の温度も測定した.そして蒸発能 (湿ったろ紙からの蒸発) に対する相対的な蒸散速度を示す葉温比 (LTR) を算出した.土壌水分が少ないときのLTRは, MDRとA3-1で他の8系統より小さかった.十分に給水した植物のLTR (LTR0) は0.74-0.87で, MDRとA3-1のLTR0は小さく, さらにこれら2系統でLTRは土壌水分の低下に対して敏感に低下した.これらの結果から, MDRとA3-1は土壌水分の多少に関わらず, 蒸散速度が小さいため, 干ばつ条件下で土壌水分をよりよく保存すると考えられ, 乾燥地に適していると判断された.