抄録
In vitroでマンゴー炭疽病菌に対して最も高い拮抗性を示したPenicillium waksmanii Zaleski (T-141株) のマンゴー果実および葉における炭疽病の発病および病勢進展抑制効果について検討した.マンゴー果実に炭疽病菌とT-141株を同時に接種すると炭疽病は炭疽病菌単独接種と同様に発病し, 抑制効果は認められなかった.一方, 炭疽病菌を接種する3日前にT-141株を接種すると, 発病は認められたが, 7日目の被害度指数は同時接種区の半分以下にまで低下した.葉では潜伏期間が長かったものの, 20日後には, 炭疽病菌単独区で100%, 同時接種区で60%が発病したが, T-141前処理区では40%にまで減少し, さらに被害度指数は10%以下になった.またマンゴー果実面や葉面には炭疽病菌が常在的に生息していると考えられ, 果実に蒸留水のみを散布しても発病したが, T-141株のみを接種すると果実面および葉面とも発病は全く認められなかった.T-141株の培養ろ液からクロロホルムで抽出した分画には, 炭疽病菌に対して抗菌性を示す物質が認められ, 濃度が高くなるにつれて胞子の発芽, 発芽管の伸長および付着器の形成を阻害した.また, 炭疽病菌は各種薬剤とくにベノミルとチオファネートメチルに感受性を示したが, T-141株はこれらの薬剤に非感受性であり, 炭疽病菌とT-141株の生育適温も25から30℃付近にあることから, T-141株単独施用および各種薬剤との併用による炭疽病発病および病勢抑制の可能性が示唆された.