抄録
白肉系ドラゴンフルーツ (ピタヤ) は自家結実性であるが, 赤肉系は自家不和合性で, 白肉系の花粉を授粉して結実させる.このため, 授粉に用いる白肉系の花粉の最適発芽条件を, 寒天培地に含まれるショ糖濃度および発芽温度を変えて検討した.さらに, 花粉の保存法を異なる貯蔵条件下で検討した.
寒天培地に含まれるショ糖濃度は30%が花粉発芽および花粉管伸長に最適で, 20%以下と40%以上で発芽率が低下し, 0%と50%では発芽しなかった.花粉発芽に最適な温度は30, 35および40℃で, 45℃以上と25℃以下で低下し, 50℃と10℃では発芽しなかった.採取直後の新鮮花粉および5℃で20時間貯蔵した花粉の発芽率は30%以上であったが, シリカゲルと共に5℃で20時間おいた花粉は発芽しなかった.-20と-30℃で15日間貯蔵した花粉の発芽率は低下した.アセトンまたは酢酸エチルに貯蔵した花粉は発芽しなかった.20~60% (w/v) のショ糖液中に5℃で貯蔵すれば3日間は発芽率を維持した.しかし, 10%以下のショ糖液に貯蔵した花粉は発芽しなかった.
これらのことから, 白肉系ドラゴンフルーツの人工培地上での花粉の発芽と花粉管伸長にはショ糖30%で30, 35または40℃が最適である.しかし, 花粉貯蔵には乾燥あるいは過湿を避ける必要がある.