熱帯農業
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Angelica acutiloba Kitagawaの花序の次位による発芽, 出芽および実生の育生の差異について
Ninh Thi PHIP野島 博田代 亨
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2007 年 51 巻 2 号 p. 46-53

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抄録

Angelica acutiloba Kitagawa, トウキはセリ科に属する薬用植物である.この植物の花序は複散形花序 (花序) で花が上から咲きはじめて下におよぶ開花特性を示し, 種子の生産には長い時間を要する.本研究では, 母植物内での複散形花序の次位およびその花序内での小散形花序 (小花序) の位置による (1) 種子の乾物増加経過, (2) 種子の発芽, (3) 種子の出芽, (4) 温室内および閉鎖系チャンバー内での実生の初期成育の差異について調査した.種子の成長経過は花序の次位で大きく異なり, 一次花序, 二次花序, 三次花序の順で最大重に到達した.種子の重さは一次花序, 二次花序, 三次花序の順序であったが, 花序内での小花序の位置による差異は認められなかった.種子発芽率は90%以上で極めて高く, また出芽率も70%以上と高く, 花序の次位や花序内での小花序の位置により差異は認められなかった.葉面積, 根の直径, 部位別乾物重よって測定した初期成育は, 二次花序, 三次花序より一次花序で有意に優れていたが, 花序内での小花序の位置による差異は認められなかった.個体当たりの種子の生産量は花序の次位で異なり, 一次花序で3.2g, 二次花序で12.7g, 三次花序で2.9gであった.均一性の高い良質種子を効率的に得るためには, 二次花序の種子が完熟する開花始期後9週間目頃に三次花序を除いた, 一次, 二次花序から収穫することが推奨された.

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© 日本熱帯農業学会
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