インドネシア, 南東スラヴェシ州クンダリ, 西ジャワ州ボゴール, パプア州ジャヤプラの圃場条件で自生するサゴヤシの個葉光合成速度 (PR) と光合成関連要因を調査した.結果は以下の通りである.1) クンダリにおけるPRの日変化の測定から, 幹立ち期のPRは最大25-27mgCO2dm-2h-1であり, 既報の幼植物体の値 (8-15mgCO2dm-2h-1) と比べかなり高いことがわかった.ボゴールにおける幹立ち前のPRは16-18mgCO2dm-2h-1であった.同様の値がジャヤプラの圃場条件で自生する幹立ち前の数変種においても観察された (平均17.2mgCO2dm-2h-1) .2) PRは500μEm-2s-1前後で飽和した.弱光下でもPRが最大値に達することが, 群落内で優れたデンプン生産力を維持する基礎となっていることが推察された. 3) PRは炭酸固定能力の指標である葉肉伝導度 (Gm) と密接に関係し, 下位葉におけるPRの低下はGmの低下によるものであった.一方, ボゴールでのPRはクンダリより低く, この差は気孔伝導度 (Gs) に起因した.