抄録
(1) 落花生の母体は一様の栽培条件下に保ち, 結実圏の温度のみをそれぞれおおよそ20°, 25°, 30℃に変えてその結実, 子実の発育, 並びに油含量・油の沃素価・蛋白質含量などに及ぼす影響を実験研究した.
(2) 子房柄は低温区で最も数が多く, かつ長い.また高温区ではきわめて数が少なく, かつ短い.中温区はその中間で, 子房柄の長さは畑におけるとほとんど同じである.
(3) 中温区は低温区より莢数は少ないが一粒重が大なので総子実重において重くなる.高温区では一粒の重さは中間であるが, 莢数が少ないので総子実重は最も軽い.
(4) 結実した子実の重量を枝の各節ごとに比較すると, 中温区が最も重く, 低温区, 高温区とつづく.ただし枝梢部では高温区がやや重い.
(5) 十分に成熟した子実の1個の重量を比較すると, 中温区が最も重く, 低温区, 高温区の順になる.しかし温度が高い区ほど子実の内部にできる空隙 (空腔) が大きくなるのでその外形は大きく見える.いまそれぞれ重量をこの見かけの大きさで割つて見かけの比重を求めると, 高温区が最も小で, 中温区, 低温区とつづく.しかし真の比重は全くその逆の関係になる.
(6) 含油率は高温区, 中温区が高く, 低温区がきわめて低い.沃素価は高温区が最も低く, 中温区, 低温区と次第に高い.
(7) 粗蛋白質の含量は油脂の含量と反対に低温区が多く, 中温区が少ない.ただ高温区が常に多いようであつたがこの点については若干の疑問を覚えるのでさらに検討する予定である.