抄録
1.この報告は, 台木の変異利用による食糧的クリ果および用材の増産を, クリの異属台間つぎ木からえんとして, 現に山野に存するおびただしい資源の開発をねらつたものである.
2.この温帯法は直ちに熱帯の高地に適用できるとはいえないけれども, 改良と工夫によつて一応成功可能と考える.
3.クリとつぎ木共生の異属台は, 硬木のため, 往々台の削り直部に木質介在を許しやすいが, この木質は必ず除く.むしろ形成属の中間を削ることが望ましい.
4.夏至からのクリの長期中央葉かきおよび同部FP穂は, 異属台間つぎ木にも有効である.
5.暗所では不成功ゆえ, 射光をはかる手段をとるが, クヌギやコナラでも地下地上の釣合いを考えて更新する.シイには枝群残存を考える.接着部と穂, 台の各虫害に対処する.
6.高つぎの危険を省くために, 削り処理穂の削り部以外を芽露出法で巻き, さらにこの材料をまとめてFPしておき, これを即日または1両日内あるいは7日以内につぐ接着怯も同属台同様と考える.別法として水溶性合成樹脂塗料をもつて穂の上方部を1芽露出あるいは芽ごと処理するか, ときに全穂に処理したのち, 削り部を作つてFPしておくのもよい.
7.クリの採果用には穂の上下逆つぎ, 用材用には正常つぎがよいと考える.
8.異属台つぎのクリの年間生育は, 同属台つぎに類するようである.