2016 年 11 巻 4 号 p. 106-113
【目 的】 単科精神科病院でアンケート調査を行ない敷地内禁煙への賛否・満足度と問題を調査し喫煙意識の変化をみた。
【方 法】 全職員、児童思春期を除く全入院患者および外来患者(200人抽出)を対象に無記名かつ提出自由のアンケートを実施。
【結 果】 職員の喫煙率は18.6%。入院患者と外来患者の喫煙率は54.4%と39.5%。入院患者の喫煙率は入院期間に相関していた。職員の73%、入院患者の52%、外来患者の72%が敷地内禁煙に賛成。喫煙者の約半数は禁煙したい喫煙者だった。職員に限ると賛否と満足度は当人の喫煙習慣と相関していた。
【考 察】 職員が敷地内禁煙に消極的な理由は①精神症状が悪化する不安、②業務が増える不安、③医療保護入院や措置入院の比率が増える不安であった。入院患者の反対意見はニコチン依存に起因する意見だった。
【結 論】 敷地内禁煙が今後も継続可能か否かは職員の喫煙習慣と入院環境に依存する可能性がある。