日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
原著
受動喫煙の曝露時間と呼吸機能および 心理ストレスとの関連
―人間ドック受診者における横断研究―
柴田 朋実深山 泉希西河 浩之増田 陽子宮脇 尚志
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2016 年 11 巻 4 号 p. 98-105

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抄録

【目 的】 受動喫煙による健康被害を検討したこれまでの研究は、実験的な環境でのデータによるものが多く、日常生活において実際に受動喫煙に曝露されている人を対象に調査した研究は極めて少ない。そこで今回、人間ドック受診者を対象に、受動喫煙への曝露時間と呼吸機能および心理ストレスとの関連について検討した。

【対象と方法】 人間ドックを受診した非喫煙者の男女368名を対象とした。午前空腹時に身体計測および呼吸機能検査を実施した。また、自記式質問紙法にて、受動喫煙への曝露時間と心理ストレスを評価する調査を実施し、受動喫煙の曝露時間との関連を検討した。

【結 果】 1秒率および%肺活量は、受動喫煙の曝露時間との有意な関連は認めなかった。対標準1秒量は、曝露時間の増加に伴い有意に低下する傾向を示した。受動喫煙の曝露時間の増加に伴い、全対象で肺年齢と実年齢の差が増大する傾向を認め、また、全対象および男性で肺老化率が上昇する傾向が認められた。心理ストレスに関しては、「いらいらする」を選択した者の割合は、全対象で受動喫煙ありが無しに比べ、有意に高値を示した。また「ゆううつでひどくめいる」を選択した者の割合は、全対象および男性で受動喫煙ありが無しに比べ、高値傾向を示した。

【結 論】 受動喫煙の曝露時間と呼吸機能や心理ストレスとは関連のある可能性が示唆された。これらの関連性を確立するためには更なる検討が必要である。

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