2017 年 12 巻 3 号 p. 58-63
【目 的】 禁煙補助薬のバレニクリンを用いた治療において、男性患者と女性患者それぞれの治療反応性に関与する因子を明らかとする。
【方 法】 2008年9月から2015年12月まで昭和大学病院附属東病院または昭和大学病院の禁煙外来を受診した190名を対象とした。対象者をバレニクリン治療12週間後の時点で禁煙を達成できた患者を成功群、禁煙に失敗した患者を失敗群として分けて、さらに診療録からの臨床データを男女別に解析した。
【結 果】 男性患者は127名、女性患者は63名だった。禁煙達成はそれぞれ、95名(74.8%)、39名(61.9%)だった。男性患者では、治療開始時の因子として、禁煙達成の自信、基礎疾患の高血圧が、治療開始後の因子としては、バレニクリンによる副作用が因子として抽出された。一方、女性患者において、バレニクリンの治療反応性に関与している因子を見いだすことはできなかった。
【考 察】 禁煙達成への自信があり、基礎疾患として高血圧を有している男性患者は、バレニクリンを用いた治療が成功する確率が高かった。副作用の発現は禁煙治療の成功率を低下させていたことから、副作用発現に関与する因子について明らかにする必要がある。