日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
12 巻, 3 号
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巻頭言
原著
  • 石井 正和, 大西 司, 森崎 槙, 石橋 正祥, 長野 明日香, 松野 咲紀, 阿藤 由美, 相良 博典, 巖本 三壽
    2017 年 12 巻 3 号 p. 58-63
    発行日: 2017/06/29
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー

    【目 的】 禁煙補助薬のバレニクリンを用いた治療において、男性患者と女性患者それぞれの治療反応性に関与する因子を明らかとする。

    【方 法】 2008年9月から2015年12月まで昭和大学病院附属東病院または昭和大学病院の禁煙外来を受診した190名を対象とした。対象者をバレニクリン治療12週間後の時点で禁煙を達成できた患者を成功群、禁煙に失敗した患者を失敗群として分けて、さらに診療録からの臨床データを男女別に解析した。

    【結 果】 男性患者は127名、女性患者は63名だった。禁煙達成はそれぞれ、95名(74.8%)、39名(61.9%)だった。男性患者では、治療開始時の因子として、禁煙達成の自信、基礎疾患の高血圧が、治療開始後の因子としては、バレニクリンによる副作用が因子として抽出された。一方、女性患者において、バレニクリンの治療反応性に関与している因子を見いだすことはできなかった。

    【考 察】 禁煙達成への自信があり、基礎疾患として高血圧を有している男性患者は、バレニクリンを用いた治療が成功する確率が高かった。副作用の発現は禁煙治療の成功率を低下させていたことから、副作用発現に関与する因子について明らかにする必要がある。

  • 森崎 槙, 大西 司, 長野 明日香, 阿藤 由美, 松野 咲紀, 石橋 正祥, 相良 博典, 巖本 三壽, 石井 正和
    2017 年 12 巻 3 号 p. 64-70
    発行日: 2017/06/29
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー

    【目 的】 禁煙補助薬のバレニクリン(α4β2 ニコチン受容体部分作動薬)による禁煙治療における副作用発現に関連する要因を明らかとする。

    【方 法】 2008年9月から2015年12月まで昭和大学病院附属東病院または昭和大学病院の禁煙外来を受診した190名(男性127名、女性63名)を対象とした。多変量解析を用いて、バレニクリンによる副作用発現に関与している因子を抽出する。

    【結 果】 90名[男性52名(40.9%)、女性38名(60.3%)]の患者で副作用が認められた。主な副作用は悪心・嘔吐であった。多変量解析の結果、バレニクリンによる副作用発現に、女性、禁煙チャレンジ、呼気一酸化窒素濃度が独立して関与していた。オッズ比はそれぞれ、2.281倍(男性 vs. 女性、95% 信頼区間1.098〜4.738)、2.506倍(禁煙チャレンジ 経験なしvs.経験あり、95% 信頼区間 1.250〜5.021)、2.404倍(25 ppm以上 vs. 25 ppm未満、95% 信頼区間1.046 ~5.525)だった。

    【考 察】 女性、禁煙チャレンジ、呼気一酸化窒素濃度が、バレニクリンによる副作用発現に独立して関与していた。バレニクリンによる禁煙治療をより良くするためには、副作用発現の危険因子を持つ患者に対しては、減量投与や予防療法を行うことを考慮すべきであると考える。

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